似て非なる専門用語

介護の現場でのミーティングやカンファレンスでは、ADLやIADLといった言葉をよく耳にします。この2つはとても似ている言葉ですが、それぞれ違うことを意味しているので、きちんと使い分けられるようにならなければなりません。ADLとIADLが何を意味しているのかをしっかり把握することで、より適切なケアを提供できるようになるはずです。

ADLとは日常生活動作を意味する言葉で、高齢者の要介護度や介護サービスの内容を決めるときの大切な要素です。着替えや食事をはじめ、排泄や歩行、家事動作などを自力でどれくらいできるのかといったことを判定するときによく用いられます。

高齢者のADLが低下すると、その分だけ要介護度は上がる可能性が高くなります。そのため、高齢化社会では、シニア世代がADLを維持できるような介護サービスが重視されています。

一方IADLは、頭を使って判断しなければならない日常的な動作を指します。服薬管理や金銭管理を自分で正しく行えたり、電話の応対が問題なくできるなど8つの項目で評価し、心身機能の衰えを早期に発見するときに有効だと考えられています。だだし、習慣化している行動についてはIADLの低下は見られないため、IADLが低下していると感じてもADLのように直接要介護度に影響を及ぼすとは限りません。

IADLはあくまでどれくらい自立した生活が送れているのかをはかる指標の一つだと考えるほうがいいでしょう。介護現場で働くときには、ADLとIADLを混同しないようにしてください。